【第1回 ワケあって、後継者になりました!】hanaha株式会社2代目 本間直紀氏

事業承継 後継者 老舗 花屋


今回からは「ワケあって、後継者になりました!」というテーマで、長く続く企業の後継者に、そのリアルをお話しいただきます。これから事業承継をしようかどうしようかと悩まれている方にとって、このインタビュー特集が皆さんの背中を押せると幸いです。

さて第1回となる今回は、親子2代で営む生花店、hanaha株式会社2代目の本間直紀氏にインタビューをお受け頂きました。

―それでは本間様、本日はよろしくお願い致します。
まずは現在取り組まれている事業についてお聞きかせ頂けますでしょうか。

基本的にはお店にいらっしゃるお客様に、お花の販売を行っております。
また、開店祝いなど贈呈用途でのご依頼を頂くこともあります。いわゆる街のお花屋さんですね。
ただ、それに留まらない独自のサービスも展開しております。

事業承継するまでの経緯

―なるほどですね。
本間様は家業を継がれる前は、どこか別の会社の経験がおありなのでしょうか?

以前はIT系の企業で、ネットワークエンジニア兼クレーム対応を行っておりました。

―とすると、お勤めされながらお花の専門学校に通ってという感じですか?

いえ、前職を辞めてからですね。継ぐことを決めてから集中的に学びました。
いきなり店に立ったり電話に出たりしながら、休日を学校に使うという日々でした。

―前職に入社するとき、その時点では継ぐ予定はなかったのでしょうか。

一切無かったですね(笑
実は会社に入る前、大学を卒業してから1年間ドラムで留学したのですが、その費用のためにコツコツと2年位かけてお金を貯めていたんです。
そんな時に、当時本当に信頼していた人から、「会社をやっているのだけど、儲かれば増やして返せるからお金を預けてみないか」と。

―危ないやつですね(汗

僕は当時何も知識とか無かったので、貯めていたお金を全部預けてしまったんですね。
彼とは一緒にバンドを組んだことも有りましたし、音楽に限らず色んな事においていわゆるメンターに近いような、完璧に信頼していた存在だったということも大きな理由でした。

そして留学のための費用を支払う期日が近づいた時に、返して欲しいと伝えたら「ちょっと待って」と。
で、少し経ってからまた返して欲しいと伝えたら、また「もうちょっと待って」って。
そんなやり取りを何度か繰り返したんですが、結局は騙されていたんですね。

バンドって、一度でも組んだらもう親友とか家族みたいな存在になるんです。
もうあまりにもショックすぎて、当時ドラムを一日8時間9時間欠かさずに練習していたのを、ぱったり辞めてふて寝してたんです。
あまりも急だったので母がすごく心配して、ついには過呼吸になって倒れてしまったくらいです。

もう留学にも行けなくなったので隠しようもないですし、観念して両親に告白しました。
色々思い出して悔しく号泣しながら。

そしたら父が「出してやるから行ってこい」と。
もうその後は畳に額をこすりつけながら、ひたすら感謝しました(笑

事業承継 後継者 老舗

―すごく優しいお父さんなんですね。

いや、実はそれまで殆ど父とは会話したことがなくて、どんな人かも知らなかったレベルでした(笑

―やはり仕事で忙しくて、あまり関われる機会がなかったということですか?

いや、もう今72歳なのですが、完全に昭和な感じで、息子との無駄口は基本しないと。
今でこそ割と話すようになりましたけど、当時は僕がどこの大学に通っているのかとか、何歳なのかとかまで、全部母経由で知るっていう(笑
僕は僕でバンドに夢中で、話が合わないと思っていたし、父は父で別に好きなことをやっているのなら良いという感じで興味を示すわけでもなく。

でも、いざこうやって傷ついた時に父が応援してくれて、こんなに支えてくれてたんだって、もう感謝しかなくて。
で、どうやってってこの恩を返そうかと考えた時に、親孝行の形って色々あると思っているのですが、僕は自分の夢を追いかけて、家族を持って、幸せな姿を見せるというのが一つの形だと思っているんです。

ただ、結局留学した結果、音楽で夢を追うのはとんでもなく厳しいってなって、就職することにしました。
それで、これまで培ってきた英語を活かせる職業を選びました。

―そこから最終的に継ぐことになったきっかけってあったりするのでしょうか?

勤めている時に母経由で、父が「この店も自分の代で終わりか…」とぼやいていた事を聞いたのがきっかけです。

今まで自分の中で強い存在と思っていた人が弱音って。
特に僕は頭が上がらないわけじゃないですか(笑
それがもう胸にシクシクと来て、消えなくて消えなくて前職をやめることになりました。

でも、一度家に戻って、「俺、継ぐわ」って行った時に、最初断られたんですよね。
もうとにかく「厳しいぞ」と。
それでも良いのか一回ちゃんと考えてこいって断られました。

僕的には、あれ、なんか話が違うぞ?って思いましたね最初(笑
それで1,2ヶ月考えて、やっぱりやってみたいと思ったんです。

過去を活かせるかどうかではなく、今後自分がどうしたいのかで決めようと。

―でもやっぱり継がれる時って不安もあったと思いますけど

ありますあります。

でもどちらかというと僕超勘違いしてたタイプで(笑
少し英語もやってきてたし、日本の文化である生け花を世界に広めていけんじゃないかって、東村山からw

―不安よりかは、やってやるという意気込みのほうが大きかったんですね(笑

この停滞した状況を僕が変えてやるって、完全に調子に乗ってましたね笑

ただ、形とか具体的なやり方、アプローチは違いますけど、今でもこの想いはやっぱりあります。

継いでからと、これからと

事業承継 後継者 老舗

―最初ってやっぱりお父さんから商売など学びながらでしたか?

そうですね。
ただ、あまり口で言われたことはないです。
仏様に供える花だけは基本だから組めるようになっとけという位。

長嶋監督に憧れがあるようで、こうしてこうしてこうしてこうだ!みたいな(笑

―見て学べと(笑

ですね(笑
ホントにもうずっと横について学んでいました。
こんな5本くらいのを組むのも難しいなと。
まぁでも、難しいのを出来るように成るのも面白いなって。
もっとこういうのも作りたいなとか。
それでお客さんにも喜んで貰えたのを目の当たりにできると面白いです。


―継がれてから、本間さんが個人的に気づいた点などはありますか?

これは自営をやっていて如実に感じるのですが、目の前のお客さんが自分の人生を支えてくれているということに気づきました。

実は僕自身はお花を買ったことがなかったんですよ。それまでは興味もなかった。
でも、お供え用とかプレゼント用、自宅に飾る為に頻繁に買いに来てくれる方もいらっしゃるんです。

その人がお金を財布から取り出す時に、これか!って。
この人のおかげで自分はこれまで学校に通ったりご飯食べたり出来て、人生を過ごせてきたんだと。

会社勤めの場合だと、決まった日に決まった金額がデータとして入っているだけじゃないですか。
だからいまいちそういった感覚は持てなかったんですね。

そういった意味で、自分の人生を過ごすためのお金の直前の持ち主を知れるというのは他にはない経験であり、この人のおかげで自分がいるということを忘れてはならないと思っています。

―今後会社の規模をもっと大きくしていきたいとか、夢みたいなことってあったりしますか?

無理せず自然と大きくなっていきたいとは思いますね。
ただ、もし店舗増やすにしても今の場所は絶対なくしたくない。

僕はここの街の人に育ててもらったんで。お客さんも2代目3代目になっていくんですよね。
おばあちゃんが来れなくなったから来ましたとかで、息子さんの奥さんとかがお花を買いに来てくれたりとか。
こういった人に必ず喜んでもらいたい。

その上で、これまでお花を楽しんでいなかった人に向けても提供できるように、現在取り組んでいるところです。

―SNSを拝見していると、本間さんは私の中の”街のお花屋さん”のイメージと比べて、かなり新しいことをされているなという印象があります。
例えば今ワークショップとかもやられていますが、これはどういった内容なんでしょうか。ドライフラワーを作ってとかですか?

いや、なんでもありです。
店で作れるものであれば、新しいものをそこで生み出してもらっても構わないです。
僕が教えるというよりかは、好きに使って下さいという形ですね。

ハーバリウム

例えば1人は、透明なオイルと花を瓶の中に入れて作る、ハーバリウムというものを作られています。
自分の手で作ったものを、出産した友人にお祝いとして贈りたいということです。

○○レッスンとかだと、材料や花まで決められているということで、自由に作れるhanahaにお越しいただけています。

―お花屋さんって、それこそ街に何件かあったりすると思うのですが、他店との差別化とかなどをやられていたりするのでしょうか。

他のところは多分出来ることだけをやっています。うちもそうでした。
でも僕は業界内外問わず真似できるところは真似して、まだ誰もやっていなくてニーズのある、「ちょっと新しいけど受け入れられるサービス」を目指しています。

―継がれたのっていつ頃なんですか?

花屋の仕事を始めたという意味では2010年です。
法人成りして公に継いだというのが2016年ですね。
そしてつい最近になって、IT補助金を使ってWEBを作ったり、色んな話が伸びてきました。

バンドとか音楽をやっていて、これは誰もやったことがないだろうということは思ったことがありませんでした。
でもビジネスでは、これまだ誰もやっていないんじゃないの?あ、やるなら自分だ!早くやりたい!って思うことがよくあります(笑

―早くやりたいで、そのままやっちゃえるのが凄いですよね。
やっぱりそれまでの積み重ねがあったからですか?
それともえいや!という感じですか?

そういう意味ではまずやってみちゃったりするので、大したことないのが出来てしまったり、見当違いだったりして必ずつまずきます(笑
出してから修正ですね。

そもそもそれまで他人の意見って聞けないんです。
そこまで固まっていないうちに意見を聞いてしまうと、皆さん当然言うことが異なるので、その人の意見が反映されちゃって、その人なりのサービスや商品が生まれてしまうので。

―本間さんが継がれてからこれまでで、様々な新しい事に挑戦されているかと思いますが、お父さんはどのような視点で見られていますか?

好きなことを好きなようにやってくれればという感じです。
この点に関しては昔も今も変わらず放任ですね(笑

サボらずに迷惑かけなければいいやみたいな。
勿論僕が一生懸命やて散るのは絶対に知っているはずですし。

勿論僕からは隠さずちょくちょく報告しますけどね。
でも父は、ふーんという位でリアクションは薄いです(笑

ただ面白がってはくれているようで、まだリリース前なのに他人に話してたりするんで驚くことがあります(笑

事業承継を悩んでいる人へのメッセージ

―現在事業承継をしようか悩んでいる方へのアドバイスをお願いします。

悩んでいるのなら、取り敢えずやってみましょう。
そして、やるのなら一生懸命やる。
僕も外から見ているだけでは、こんなに面白いとは思いませんでした。

もしそれで絶対に会わない、すごくつまらないと感じたのであればやめればいいです。
そこまでやっていたのであれば周りも何も言わないと思います。

別に子供がやる必要もないですし、合う人がやればいいと思います。
極端な話うちの仕事も、花屋の仕事がめっちゃ好きで、もし僕よりもうちの店のことを愛してるという人が居れば、その人がやればいいと思います。
当然僕は譲りませんけど(笑


―確かに、実際やってみないと分からないですもんね。
今日は深い話から面白い話までお話し頂き、ありがとうございました。
今後は新しいプロモーション活動も並行して勧めていかれるとのことで、その日を楽しみに待っています!

まとめ

  • 父への恩返しの思いが募り、継ぐことを決意した。
  • 過去を活かせるかどうかではなく、今後自分がどうしたいのかで決めようと考えた。
  • 事業承継の際は不安もあったが、意気込みのほうが大きかった。
  • 悩んでいるなら、一度一生懸命やってみる。

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